俺のOneNote

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データ分析が仕事な人のOneNote愛とか、分析小話とか。

使わないと時代遅れ?BIが実現するデータ分析の高度化・民主化・効率化の話

BI(ビジネスインテリジェンス)ツールということば、
かなり広まってきたような気がします。

一方で、
「BIツールなんて難しそう」
「普段の仕事に高度なツールなんて不要」
「そもそもメリットが分からない」
という方々も少なくないのではないかと。

本記事は、Microsoft Power BI Advent Calendar 2018として、
Microsoftが提供しているBIツール「Power BI」を例にとり、
そのメリットや課題について、全くBIを使ったことがない人にもわかるようにお伝えしていこうと思います。


データ分析の高度化・民主化・効率化

BIを活用する理由はこの3点に集約されるというのが私の考えです。
これらの言葉を聞いて少しでも関心を持ったら少しでもBIの利用・運用について試してみて損はないと思います。

以下、具体的にどのようなことがあげられるか見ていきましょう。

データ分析の高度化

グラフの可視化、ピボットテーブルなど、初歩的なデータ分析においてExcelが最もビジネスにおいて利用されてきた(されている)のではないでしょうか。
これについて、Excelが良い・悪いという話ではありません。
Excelの小回りの良さはビジネスのあらゆる場面で重宝しますし、多様な関数、VBAにより、柔軟に分析ニーズに応えることも可能です。

また、Excel標準機能では難しい統計解析・可視化についても、以下のような統計解析・可視化ツールも無償・有償で取り入れることができます。 以下ツールはいずれも大変優秀な機能を有しています。

appsource.microsoft.com

norimune.net

bellcurve.jp

このような応用範囲の広さと深さ、そして手軽さから、Excelは使い続けられてきました。

そのほか、データ分析の高度化という意味だけで言えば、統計解析を得意とするR言語や、機械学習ブームで人気急上昇中のPythonといったプログラミング言語を利用する方針もあります。

R: The R Project for Statistical Computing

Welcome to Python.org

このような様々な選択肢がある中、BIツールにおいても単なる可視化にとどまることなく、統計解析、機械学習といった解析的な技術が利用できるようになってきています。
Power BIでは以下のような機能や流れがあります。


Python、Rの統合

Power BI では、PythonやRのスクリプトを実行できるようになっています。
Pythonプレビュー機能

powerbi.microsoft.com

docs.microsoft.com

恥ずかしながら、Power BI × Python や Power BI × R などについて、以下QiitaやYoutubeにて解説していますので気になる方はぜひご覧ください。

qiita.com

www.youtube.com

Python・Rの統合により、Python・Rで提供されている高度な統計解析・機械学習・可視化ライブラリの恩恵を受けることができます。
さらに、「Rなんて書けないよ!」という方についても、Rの統計解析・可視化スクリプトを自動で実行してくれるカスタムビジュアルも複数提供されています。

docs.microsoft.com

BI上での統計解析・機械学習は日進月歩で進化しています。
そして、その流れをさらに加速させる動きがあります。
Power BIとMicrosftが提供するAI関連サービスとの統合です。


Azure Cognitive Servicesや Azure Machine Learningとの統合

2018年11月14日、Power BI Blogにて以下の案内がありました。

powerbi.microsoft.com

おそらく、多くの人が待ち望んでいるであろう、MicrosoftのBIツールとAIツールの統合を進めている趣旨の記事です。
すでに学習されたデータを手元のデータに適用できるAzure Cognitive Services、
手元のデータを学習させ、自身で様々な機械学習モデルが構築できるAzure Machine Learning、
これらがPower BIと統合すれば、BI環境はさらに高度化していくことは言うまでもありません。
それがほぼノンコーディングで実現できるのであれば、BIだけでなくAIの民主化にも寄与するものと思われます。

次は、データ分析の民主化の話です。


データ分析の民主化

データ分析の民主化。 煩わしい表現をしていますが、要はだれでも高度なデータ分析ができるようになることです。

インタラクティブなレポートの威力

BIは、データ分析結果の元ファイルを配布することを前提としていません。 分析結果は、レポートをWEB(クラウド)にアップロードしてステークホルダー間で共有することが基本です。
さらに、そのレポートはインタラクティブに動作し、共有者が自分の見たい視点で操作することができます。
これは以下サンプルから実際に体験してみましょう。

上記元データは、UCI Machine Learning RepositoryのAdultデータを利用しています。

このように、分析者が作ったレポートについて、分析・可視化などをしたことがないような人に対しても、 データドリブンな判断を促すことが可能になります。


WEB上のレポート、インタラクティブな操作が可能にするデータドリブンな判断

WEB上でインタラクティブなレポートを共有することについて、一番効果を発揮するのが、打合せや会議におけるブレーンストーミングなどではないでしょうか?

BIが日常の会議で活用されていない場合、以下のようになっていませんか?

f:id:kopaprin:20181201015830j:plain

データについて出てきた用意していない質問は、持ち帰りで分析、再度のレポート作成。
または、会議で言いっぱなしで特にその後検証することもなく終わる・・・。

これではせっかくの会議にかけた時間がもったいないですね。

BIを運用できるようになるとこう変わるかもしれません。

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おそらく会議の成果やレポート作成にかかる手間の差は歴然ではないでしょうか? BI導入によるデータ分析環境の民主化は、データドリブンな判断を促すだけでなく、効率化にもつながります。

次は効率化の視点です。


データ分析の効率化

先ほどみたように、レポートがインタラクティブに動作することにより、レポートを何度も作成したり、Excelでグラフをつくり、PowerPointにまとめ・・・といったような作業の必要がほとんどなくなる可能性があります。

そのほかにも、BIにより効率化しそうなことは多々あります。

多様なデータソースから取得・自動更新

Power BIでのデータ分析の基本は、別に格納されているデータソースからデータを取得し、データモデルとして加工・可視化することです。

データソースは、Desktop上のcsvファイルからオンプレミスデータベース、クラウド、各種WEBサービスなど、多岐にわたります。

docs.microsoft.com

様々なデータソースから取得したデータは、一度宛先を指定すれば、自動的に更新が可能です。 ※更新の詳細は、以下リンク先を確認してください。

docs.microsoft.com

これにより、例えば月次、週次でまとめていたレポートなどを一切の手間なく、更新し続けることが可能になります。

ダッシュボードによる様々なレポートモニタリング

Power BI Serviceには、ダッシュボード機能があります。 これは、作成、WEBで共有したレポートの中から、自身に関係のあるビジュアル等を取捨選択し、1か所でまとめて管理できる機能です。 f:id:kopaprin:20181201022128p:plain

これにより、自身がチェックしたいデータやレポートだけを一元管理できる仕組みとなっています。 様々なデータの場所を覚え、いちいちチェックしに行く必要はありません。


ビッグデータの整形

複雑なビッグデータを可視化しやすく整形し、モデルとして取り込むのは非常に大きなリソースが必要なケースがありました。 それを簡素化し、クリック操作で分析しやすくするPower BI Dataflowsがリリースされました。(プレビュー)

docs.microsoft.com

これをうまく活用すれば、専門の技術者が何日も要していたデータモデルへの整形を、分析者が簡易に実行できるようになる可能性があります。


BIの運用に向けて

Power BIは無償にて始めることができますが、組織内共有など、ビジネスで本格的に扱うとなれば有料のサブスクリプションが必要になります。
他のBIツールについても、金額の大小はあれど、費用がかかるものがほとんどなはずです。
費用面は導入に向けて大きなハードルになると思いますが、そのほかにも乗り越えるべきハードルがあります。

BIは単なる可視化ツールではなく、インサイトを生むためのツール

BIツールは魅力的なツールであり、様々な可視化メニューが存在します。
一歩間違えると、「可視化」が目的になり、「インサイトを得る」ことが欠損してしまう可能性があります。
魅力的なビジュアルは重要ですが、5W1Hを踏まえたレポート設計が必要です。

  • Who(だれが見る・誰のためのレポートか)
  • When(いつ利用するレポートか)
  • Where(どこで利用されるレポートか)
  • What(なにを表現したいレポートか)
  • Why(なぜこのレポートを作るのか)
  • How(どのように使ってもらうレポートか)

これらを明確に応えられるレポートは、おそらくインサイトを生むことができるBIレポートです。

BI設計者の育成

設計者というと大げさですが、BIを導入し、活用していくためには既存情報システム部門だけでの取り組みでは不十分かもしれません。
BIが使われるかどうかは、さまざまなIT基板以上に経営・マーケティングなど、現場レベルで利用価値のある内容である必要があります。
現場の声をレポートに落とし込める設計者を育成することが欠かせません。

powerbi.microsoft.com


おわりに

昨今感じているBIを運用するうえで知っておいてほしいこと、ぜひ伝えたいことは記載できたつもりです。
しかし、Power BI をはじめ様々なBIツールの機能はこれだけでは語りつくせないことは承知しています。
この記事を読んで、少しでもBIに興味をもっていただければ本望です。